編集部より:持続可能な未来
を目指して

本当に価値あるものとはなにか。人生に生きがいをもたらす要素はなんなのか。我々の探求心はいま、根源へとさかのぼっています。

  

かつてない試練に直面している我々には、目指すべきゴールへの正しい道標と、そこへたどり着くための勇気が求められています。たとえばポルシェの場合、生産拠点がある地域のフードバンクを支援するとともに、子どもたちへの教育に力を入れ、さらに脱炭素化を目指す新たな企業戦略を推し進めています。シュトゥットガルトのツッフェンハウゼン工場で CO₂ ニュートラルな手法で生産されている完全電動モデルのタイカンは、新しい時代を切り開く重要な役目を担っています。ポルシェはサスティナブル・モビリティのパイオニアなのです。

タイカンは先ごろ “2020 年の世界で最も革新的な自動車” に選出されましたが、この受賞は持続可能性の拡張を目指すポルシェにとって大きなモチベーションとなりました。ポルシェは 2025 年までに EV 開発とデジタル・トランスフォーメーションに 150 億ユーロを投資することを明らかにしています。そしてその将来への投資から、新しいアーキテクチャーやタイカンの 800V テクノロジーといった業界をリードするイノベーションが生まれてきています。

ゼバスティアン・ルドルフ

ゼバスティアン・ルドルフ

Editor

ポルシェには、持続性の高いイノベーションの精神が伝統として息づいています。たとえばフェリー・ポルシェは、1970 年代に初めて溶融亜鉛メッキ・ボディパネルを導入し、錆の問題に終止符を打ちました。また、ポルシェは自社製品に長期保証を付けて販売した最初のメーカーであり、その手法は業界全体のロールモデルとなりました。実際、これまでに製造されたポルシェの多くは “文化資産” として今でも現役で走り続けています。他に例のない企業イメージを形成してきたのは、イノベーション精神に他なりません。私たちは、持続可能性をトータルに考えています。それは経済的、生態学的、そして社会的に、という意味です。長年にわたりビジネスで利益を上げ続ける企業は、難題を解決する力を持っているのです。

これまでポルシェは何度となく自らを再発見してきました。だからこそ、1990 年代前半に新たな活路を見出すことができたのです。当時開発されたボクスターは、ポルシェがさらなる発展を遂げるための重要なマイルス トーンでした。そして生誕を記念する限定モデル “ボクスター 25 イヤーズ” は、新世紀のサクセスストーリーに新たな躍動感を与えます。

常に人間を中心に物事を考えてきたポルシェと同様、本誌は今号においてもインスピレーション豊かな人物をご紹介します。たとえば、ロード・ノーマン・フォスターは世界が驚く建築芸術の数々を生み出してきた人物ですが、彼もまた自らの手法でサスティナビリティの在り方を世界へ発信してきました。あるいは、アラブ首長国連邦初の女性映画監督ナイラ・アル・カーヤは、常に社会問題をテーマにした作品を世に送り出しています。両者ともにたいへん責任感の強い情熱家です。

責任と情熱と言えば、クリストフォーラス編集部も負けてはいません。このポルシェ・マガジンは、9 月に創刊 400 号という節目を迎えます。それを記念して、今年の表紙は本誌グラフィックデザイナーであるエーリッヒ・シュトレンガーに捧げるデザインを採用しています。彼の力強いスタイルは広告やポスターの他に、1952 年にリチャード・フォン・フランケンベルクによって創刊された本誌を特徴づけてきました。彼の作品にオマージュを捧げながらも現代風にアレンジされたタイトルカバーをぜひお楽しみください。

人生は挑戦の連続です。大切なのは、チャンスを見極めること。読者の皆さまの健康でエネルギッシュな 2021 年をお祈りするとともに、クリストフォーラスを通じて感動の旅を満喫していただければ幸いです。