ハート&ソウル
パワフルな家長:最強のスペックを誇る新型ポルシェ 911 ターボ S が加わったことで、 ボクサーエンジン一家が全員集合した。
イラスト: DESIGN HOCH DREI、Porsche Engineering
ポルシェ911ターボSモデル
燃料消費量 総合: 12.5〜12.0リッター/100km
CO2 排出量 総合: 284〜271g/km (2020年3月現在)
ポルシェの現行モデルに搭載されている全ての 4 気筒/6 気筒 水平対向エンジンの遺伝子コードは 9A2 と 9A2evo だ。このコードは構造的に同一あるいは類似した個々のパーツで構成されたフレキシブルなシステムを表し、その元となるパーツがエンジンのベースを構築すると同時に全く異なる特徴を持つエンジンのス ペースを作る役割を果たしている。そこに上手くはまるエンジンは何があるだろうか。4 気筒なのか 6 気筒なのか。吸気エンジンなのかターボエンジンなのか。そこから 2 リッターから 4 リッター 間で排気量が区切られ、最大トルクも 310 ~ 800Nm、最高出力 250PS ~ 650PS までの幅がある。
水平対向エンジンを搭載するスポーツカーの共通点とは一体何であろうか。それは 118mm に 拡大された軸間距離だ。それをベースにシリンダーのピストン内径が 91mm または 102mm、 行程が 76.4mm、もしくはクランクシャフトに応じて 81.5mm なのか。モデルレンジの 718 と 911 では 5 つの異なる排気量と 9 つの出力クラスが提供されている。
ただし、どのエンジンでも部品によってはそのまま、技術的に類似した類似したコンポーネントを使用し、ハイレベルなシナジー効果を生み出してくれる。そうすることでエンジン設計担当のエンジニアたちは時間に少しの余裕ができ、その分の時間を 吸気タクトや排気システムの開発に割り当てていくことができ、効率性やさらなるパフォーマンスにも期待ができるという訳である。
世界でポルシェとその水平対向エンジンが愛される理由。それはエンジンに注ぎ込まれた情熱とその強烈な個性、そして受け継がれるポルシェ DNA が為せる業だろう。
パフォーマンス
新型ターボエンジンの圧倒的なパワー展開に 思わず息を呑む。その秘密は可変ターボジオメトリー (VTG)チャージャーとウェイストゲートの改良、 そしてプロセスエアーと圧縮空気がより効率的に 流れる新設計だ
効率性
エンジン内部の摩擦を最適化し、今回から 中央にレイアウトされたピエゾ式インジェクターを 使った燃焼プロセスの改良が、 さらなる出力増大と効率性の向上に貢献している
エモーション
4 気筒でも 6 気筒でも、自然吸気でもターボでも、ポルシェのすべての 水平対向エンジンには共通点がある。その独特なサウンド、高いエンジン 回転数、スムーズな反応特性、そして最高のドライビングプレジャーを 実現すべく、低い重心高を実現している